大腸ポリープ
通常発見されるものは、大きくなると がんになる可能性のある腺腫(せんしゅ)と呼ばれるポリープです。
小さなうちは がん化の可能性は少ないですが直径10mm以上になると がんの頻度が高くなってくるとされますので
通常、5mm以上のポリープは内視鏡的切除(ポリペクトミーと呼ばれます)が勧められます。
当院でも日帰り手術または1泊2日の入院で行っています。
便秘
便秘の定義は様々言われていますが、基本的には排便が1週間に2回以下で、
便が硬く、うまく排出できない(5分以上要する)状態に加え、残便感がある等の自覚症状も重要
です。
大腸がんや憩室等の器質的疾患以外にも糖尿病や甲状腺機能低下症、パーキンソン病やうつ病等の全身疾患が原因となる場合もあり、
また薬剤による便秘もあります。
食生活習慣指導に加えて、近年、新しい機序の薬剤が数種類登場しており、病態に応じた治療が可能となっています。
大腸憩室症
憩室とは腸の壁の脆弱な部分が腸の外側にむかって袋状に飛び出したものです。
後天性のものが多く食物繊維摂取不足や便秘による腹圧の上昇、肉食の過多等が原因とされています。
50歳代で30%、70歳代で50%、80歳代で60%にみられるとされます。
合併症として憩室出血、憩室炎が挙げられます。
憩室出血は特に多発憩室症の場合、出血点の同定が困難で輸血が必要になることも少なくありません。
憩室炎も腹膜炎をきたし、入院治療が必要になる事があります。
虚血性腸炎
虚血性腸炎とは、何らかの原因で大腸への血液の流れが悪くなり、循環障害が起こることによっておこる病気です。
高齢者に多く見られますが、若年者にも起こります。糖尿病や高血圧が危険因子とされますが、便秘や細菌感染が関係していることもあります。
典型的な症状は、突然の腹痛(多くは左下腹部痛)と下痢、特に血性の下痢です。
似たような症状を起こす病気に薬物性腸炎、感染性腸炎等があります。
治療は腸管の安静による保存的治療が中心になります。
炎症性腸疾患
クローン病は、1932年に米国のクローン博士が初めて報告した疾患で、消化管に潰瘍が形成され、
炎症を繰り返すことのよって腸の内径が細くなったり、潰瘍が穿孔して腹膜炎をおこし、
腹痛や下痢、発熱等を生じる原因不明の炎症性疾患です。
口から肛門までの消化管のどの部位にも起こりえますが、小腸(回腸)の末端部が好発部位とされています。
また、難治性の痔瘻もこの病気の特徴とされています。
クローン病を完全に治す治療法はなく、薬物療法、栄養療法、外科療法を組み合わせて病勢をコントロールし、生活の質を高めるが行われます。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍が形成され、下痢、血便、腹痛や発熱などの症状を起こす疾患です。
自己免疫異常説、細菌感染説などの多くの説がありますが、現在のところ原因は不明で、生活環境なども含め、
様々な因子が複合して発症すると考えられています。生活習慣の欧米化に伴い増加しており約8万人の患者がいるとされています。
治療は薬物や白血球系除去療法などによる内科的治療が基本となりますが、
難治性のものや癌化したもの、また激症化した場合には外科的切除が必要となることもあります。
大腸がん
食生活の欧米化などに伴い、増加している がんで男性のがん死亡の第2位、女性のがん死亡の第1位で、年間約5万人が亡くなっています
早期発見、早期治療が非常に重要であり5年生存率で見ると、ステージ1で約90%、ステージ2で85%、ステージ3では70%、ステージ4になると15%程しかありません。
胃がんや肺がん、膵臓がんなどに比べて生物学的悪性度が高くないものが多く、切除可能であれば多くが治癒する病気であり
大腸がんで亡くなることは非常にもったいないと言うことができます。
自治体のがん検診としておこなわれている便潜血検査はスクリーニング検査としてはある程評価されていますが、
感度特異度とも低く、進行がんの場合でも陰性となる例が少なくありません。
早期発見には感度95%以上とされる大腸内視鏡検査が最も有効です。
大腸がんは通常、胃がんほど進行速度は速くありませんので、濃厚な家族歴がある方やポリープ体質の方、炎症性腸疾患の既往がある方を除けば、
3年に1回程度の検査で十分とされています。

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