第四回  がん検診について 再び

R2年末はがん検診について(再び)です。

今年も残念ながらステージIV、いわゆる高度進行状態で見つかったがんの方が5名程おられました。当院初診の方が殆どですが、中には長年通院していただいている患者さんも含まれていました。高血圧、高脂血症などの慢性疾患で通院されておられました。当院では最低、年2回の血液検査に加え、年1回のがん検診をお勧めするのですが、残念ながら受けていただけない方も少なくありません。曰く「何の症状もないから」「食欲があるから」「毎日お通じがあるから」「うちはがんの家系じゃないから」etc…。いずれもがんの存在を否定する根拠には全くなりません。上記の患者さんは複数の肝転移を伴う大腸癌だったのですが、既述の通り大腸癌は早期発見による5年生存率(治癒率)は非常に高く、ステージIで95%、ステージIIでも85%が、ステージIIIでも75%が治癒する病気ですがステージIVではなんと18%となります。検診さえ受けていてくれればほぼ助かっていたのに、長年診させていただいた患者さんがこのような状態で見つかる事はかかりつけ医として非常に悲しいことです。

最低でも毎年の便潜血検査は欠かさないでください。しかしながら早期に大腸癌を、できればポリープの段階で発見する確実な方法は、やはり全大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。以前は苦痛を伴う検査であることが多かったようですが、現在では機器も改善され、苦痛は殆どありません。当院では専門医が最先端の機器を使用し、苦痛に配慮した適切な鎮静剤を使用して検査を行います。過去に苦しんだ経験をお持ちの方にこそ検査を受けていただきたいと考えています。