第一回  胃がん検診について2020.8

検診シーズンです。皆様、検診ちゃんと受けていますか?今回からは検診について、まずは中年以降気になるがん検診について書きたいと思います。
1回目の今回は胃がん検診です。当ホームページの「病気について」のコーナーでも書いていますが、胃がんは減少傾向とはいえ、現在でも全国で年間約4.5万人が亡くなっている怖い病気です。また生物学的にも悪性度が高く、進行が早い傾向があり、まだまだ強く警戒すべき病気です。一方、早期発見による5年生存率(治癒率)は非常に高く、ステージIで95%、ステージIIで70%が治癒する病気です。これは同じくステージIで80%、ステージIIで45%である肺がんやステージIで40%、ステージIIで20%の膵臓がん等に比して早期発見による恩恵が大きく、検診をうける意義というかコストパフォーマンス?が非常に高いと言うことができると思います。

宮崎市で現在行なわれている胃がん検診にはABC検査(リスク検診)、X線検診(バリウム検査)、胃内視鏡検査(胃カメラ)があります。胃がんはその殆どがピロリ菌感染と関連がある事が分かっています。ABC検診とは簡単に言えばピロリ菌感染の有無と発がんの母地とされる萎縮性胃炎の程度を組み合わせて、将来の胃がん発生のリスクを評価する検査です。血液検査ですので胃カメラやバリウムを飲む必要がなく、一番お手軽な検査といえるかもしれません。特に若い方はできるだけ早くピロリ菌感染を診断し、早期に除菌することが将来の胃がん発生を抑えることにつながりますので、絶対に受けていただきたい検査です。

X線検診はいわゆるバリウム検査です。口からバリウムという液体を飲んでいただき、検査台の上でゴロゴロ回ったりしながら胃の各部所を撮影していきます。費用が比較的安いこと、医師以外でも施行できること等の理由から検診で採用されていますが、その精度は内視鏡に比して大きく劣るのが現実です。検査後、バリウムを排出するために強めに下剤をかける必要があること、放射線の被爆があること等を考えれば、正直あまりお勧めする検査ではありません。やはり最強の検査は胃内視鏡検査(胃カメラ)です。以前の内視鏡は太く硬く、鎮静剤投与も一般的ではありませんでしたので、苦しい検査の代表格とされていましたが、現在の内視鏡は非常に進化しており、細く柔らかい上に精度が高く、微小な がんの発見も可能となっています。しかしながら現在でも、検査がきつかったとか、検診していたのに進行がんで見つかった等の話を聞くことがあります。当院では専門医が最先端の機器を使用し、苦痛に配慮した適切な鎮静剤を使用した検査を行なっています。過去に苦しんだ経験をお持ちの方にこそ検査を受けていただきたいと考えています。

皆さん、早く見つかればほぼ完治する胃がんで死ぬのは非常にもったいないことですよ。是非、自分の胃がんのリスクを評価した上で定期的な内視鏡検査を受けましょう。